「100日後に死ぬワニ」の心理学的な分析~品川心療内科マンガ

「100日後に死ぬワニ」の心理学的な分析~品川心療内科マンガ

あなたは、「100日後に死ぬワニ」というマンガをご存じでしょうか。
きくちゆうきさんというイラストレーターの方が書かれた一連のマンガで、主にTwitterで掲載されていました。
文字通り、リアルタイムに一日が経過していくようで、毎日一本ずつ掲載され、最終的に100回目で100日目が掲載される、という形になっていました。

さらにマンガ内では、ラストに必ず
「死まであと37日」
「死まであと15日」…
などのように、カウントダウンが行われていました。
そのため多くの方がファンになり、
「これ、どうなるんだ…!?」
「果たして100日後に、どうやって死ぬんだ!?」
と期待が高まり、そしてつい昨日(2020/03/20)、最終回である100日目を迎えたのです。

その結末が気になる方はもちろん↑から見ていただければ…と思いますが、
すでに読まれた方や、
「まぁいいから、とにかくここで説明してよ」
という方のため、ここで話します。

まぁ、最終的にワニさん、亡くなったようなのですが、いまいち状況が分からない形になっていました。
倒れているようなワニの手先の描写と、そばをヒヨコが歩いている、という描写。
そしてそのヒヨコは、以前のマンガで「ワニが交通事故から助けた」という描写がありましたため、「じゃあ今回はそのヒヨコを助けられなかったのか!?それで死んだんだ!?」など、多くの方が分析する、という事態になっていました。

まぁ、何にせよ多くの方がこれだけ話題にし、夢中になり、結末にたいしてもたくさんの感想や意見を持つ、というのは、作品として大成功なのだと思います。

ここで実際に思います。
もしこのタイトルが「ワニの日常」とか無難なものだったら、

1~99日目の読者の感想⇒「オチがないワニ4コマだな…」
100日目の読者の感想⇒「あ、ワニ死んだ…?理由も状況もよく分かんないけど」

とかになったのではないかと。

しかしこのタイトルが「100日後に死ぬワニ」 であるがゆえに、
1~99日目「気になる!どう死ぬの?何気ない日々が愛おしい!」
100日目「うわぁ悲しい!こんな考察が!あんな教訓が!」
と、ものすごい盛り上がりを見せたのではないかと思います。

この手法は、古来から映画やドラマで多々ありましたが、こうして分かりやすい形でTwitterマンガに応用したのが見事なのだと思います。

特に心理学的にも、カウントダウンによって「あと少しで終わり」と表現し迫ることで人間の気持ちはより高まるものです。くわえて「死因は何か?」というミステリー形式によって話を続けていったのも、人の気持ちをつかむ理由になったのかもしれません。(結局なんだかよく分かりませんでしたけども)
色々な意味でうまく作った展開だったな、と思います。

とはいえ、熱狂的なファンが増えるということはそれだけ扱いが難しいようで、その後にグッズ展開や映画化のお知らせが全面的に出たことで「商売じゃないか!」と批判する方も出ているようです。
個人的には、商売とかは当然というか、映画にしてもマンガにしてもスポンサーか消費者のどっちかがお金を出さないと成立なんてするわけない、と思っているので、批判するのはおかしいのでは、と思います。

とはいえまぁ、個人的に、マンガとして、ワニが最後に死ぬ状況の必然性と理由が一切分からないので、モヤモヤする話ではあったな、と思いました。
こういう「明確に語らず、正確な状況などは読者の自由な判断」という作品はどうもよく分かりません。

その点、脱出ゲームの数々は、すべて「正解はこうでした!」と明確にタネあかしをし、ストーリーでの引っかかりをすべて解決してくれるので、そういう意味でも脱出ゲームが好きなのかもしれません。

話がズレましたが、とにかく色々な意味で興味深い作品ではあったので、未読の方は、読んでみてもいいのではないでしょうか。

ちなみにもし、色々な作品が、このワニの成功に影響されてタイトルを変えたら、こんなことになるのかもしれません。

色々と微妙な世界になっていることを重々感じつつ、ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。