ポケモンになった医師たち~品川心療内科ゆうメンタルクリニックコラム
こんにちは。ゆうきゆうです。
ゆうメンタルクリニックには、すごく優秀な医師・心理士の先生たちがいます。
中でもこちらのS先生は、頭が良いだけでなく、非常に気さくで、素晴らしい先生なのですが。
一点だけ、「頭が良すぎて逆に危険」という欠点があります。今までのすべてを補ってあまりありすぎる欠点です。
最近のことです。
先生が突然、僕のことを呼び出して、言いました。
先生「あの」
僕「はい」
先生「ポケモンって知ってますか?」
僕「…もちろん知ってます。
任天堂が出した世界的なゲームシリーズ、ポケットモンスターの略ですよね?」
先生「よろしい」
なんかよく分からないですが、謎の上から目線から合格をもらったようです。
先生「では次の質問です」
僕「はい…?」
先生「ポケモンになりたいと思ったことってありますか?」
………。
何言ってるのかな?
先生「僕は、あるんです」
あるんだー。
あまりのことに、そのまんまなリアクションしか浮かびません。
先生「僕は、ポケモンになりたいと、常々思っているんです」
いい大人が、何を言ってるんだろう。
先生「24時間365日、ポケモンになりたいと思っているんです」
大丈夫なのかな、僕たちのクリニック。
僕「なんで…なりたいんですか…?」
先生「ポケモンは大人気だからですよ!」
僕「えっ」
先生「ポケモンにさえなれば、たくさんの人に好かれ、愛され…!」
どうしてこんな状況になるまで放っておいたのだろう。
先生「モンスターボールで捕まえたりされる!」
捕まりたいんだ。
先生「さらに女性プレイヤーにゲットしてもらえます!」
どうなの、それ。
僕「だったら、ポケモンに、なったらいいんじゃないですか…?」
自分でも、何言ってるんだろう自分って思います。
すると先生は言いました。
先生「ここで問題が生じます」
もうそれ以前から問題だらけだと思うんですが。
先生は、ホワイトボードにイラストを書き始めました。
先生「ポケモンって大半が、ずんぐりむっくりして、こんな感じです」
これが…! ポケモン…!?
著作権に配慮しているのか、純粋な画力なのかは分かりません。
しかしまぁ、確かにポケモンが総じてこんなイメージなのは分かります。
僕「まぁ、ポケモンにかぎらず、大半のマスコットキャラはそうですよね。小動物とかの象徴なんでしょうね」
先生「こざかしい分析はいりません」
せっかく分析したのに、切なすぎる。
先生「何にせよ、大人がこういうポケモンになろうとしても、せいぜいこんな感じになるだけです」
不気味ですね。
できそこないの着ぐるみみたいです。
先生「しかし、つい最近、すごいポケモンが出たんです」
僕「は…?」
先生「これです!」
先生「つい最近出た、ポケットモンスター、ソード&シールド!」
僕「は、はぁ」
ちなみにこの段階で言っておくのですが、こちらのコンテンツは、広告会社さんとかに頼まれた広告とかでは一切ありません。純粋に単独発生した事案です。
とにかく話を続けます。
先生「ここに出てくる二匹のポケモン、
ザシアンとザマゼンタ!」
僕「は、はぁ…」
先生「………」
僕「………」
先生「名前は、たぶん色の『シアン』と『マゼンタ』にTHEをつけただけで、ポケモンとして大半の名前パターンが出尽くしたゆえの苦労がうかがわれるんですけども」
それたぶん本題と無関係ですよね。
先生「何にせよこの二匹には、『剣』と『盾』という、恐ろしく分かりやすい特徴があります!
しかもスタイリッシュでカッコいい!」
僕「はい…」
先生「これなら自分も、カッコよく再現し! 素晴らしいポケモンになれそうじゃないですか!?」
それは…どうだろう。
そう思っている僕の目の前で、先生は意気揚々と作り始めました。
何だろう。これ。
小学校の課外授業か何かが始まったのかな。
えっ。
まさか、ダンボールで再現しようとしてるのだろうか。
天才と何かは紙一重だな、と思いました。
先生は楽しそうに作っています。
小学校の図画工作の時間も、ここまでイキイキとした顔で何かを作っている子供はいなかった。
人間ってスゴイな、と思いました。
先生「もうすぐです!」
何が。
そして、しばらくの後。
先生「できました!」
やばい。
人はこういうとき、どんな顔をすればいいんだろう。
するとさらに先生は続けます。
先生「で、僕と先生、どっちがどっちやります?」
僕もやるの?
突然の質問に驚きが隠せません。
でもここには我々二人だけなので、当然の流れだったのかもしれません。どうしてここに至るまで気づかなかったのか。
先生「先生には、こっちの方が似合うと思う」
盾の方じゃん。
明らかにつけるの大変そうな方じゃん。
迷ってる僕に、先生は言いました。
先生「じゃあ、僕たちでジャンケンして」
僕「はぁ」
先生「先生が負けたら盾を! 勝ったらザマゼンタをやらせてあげます」
どっちにせよ盾じゃん。
どっちでも大変なやつじゃん。
そして有無を言わせぬ迫力のあと、僕はこれを身につけました。
どうなんだろう。これ。
人としてどうなんだろう。
そう思いつつも、先生の非常に満足そうな顔を見ると、何も言えませんでした。
先生「どうですこの高すぎる再現度!」
この再現度は、高いと言っていいのだろうか。
先生「これで全国の女子プレイヤーにモンスターボールでゲットしてもらえる!」
やかましい。
ゲットしてもらえるかはさておき、警察にゲットされそうなことは確実だな、と思いました。
僕も人のことを言える外見ではありませんが。
再現度が高いのかどうなのか。正直、頭に乗ってるやつ、ないと思うんですけども。
先生「…じゃあ、ポケモンバトルしましょう」
今まで、世の中に、ここまで悲惨なポケモンバトルがあっただろうか。
しかもポケモンを操るとかじゃなくて、自分達がポケモンになってますからね。
先生「野生のザマゼンタがあらわれた!」
野生なんだ。
なんかもう野生同士のぶつかりあいだと思う。ダメな意味で。
先生「行け! ザシアン!」
自分じゃん。
命令形とかでなくて、自分が行くんじゃん。
先生「技! きりさく!」
ギャア。
こんなにイキイキとした変態を、僕は見たことがない。
そこで気づきました。
僕「あの…!」
先生「え?」
これ、僕の方は、攻撃どうすれば。
僕「僕…じゃなかった、ザマゼンタには、どんな技があるんですか?」
すると、先生は言いました。
先生「『ふるいたてる』とか」
奮い立たないわ、この状態で。
先生「『みがわり』とか」
誰のだ。
色々な意味で、先生の身代わりにはなってる気がします。
先生「『かたきうち』とか」
だから、誰のだ。
少なくとも自分の心は死んでるので、その敵討ちができるのだろうか。
何もできない僕は、そのまま一方的に攻撃され、負けました。何をもって勝ちか負けか分かりませんが、とにかく負けました。
負けたポケモンは通常モンスターボールに帰りますが、自分は家に帰りたいと思いました。
何にせよ、ポケモンバトル、ソード&シールド編、またの名をいい大人編は、ザシアンの勝ちになりました。
大人も(別の意味で)楽しめるポケモン、みなさまもぜひプレイしてください。
一本でも売れたら素敵だなって思います。
追伸
ザマゼンタは、色々な意味で生活が不便でした。
今後ともよろしくお願いいたします。
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